執筆者 陣内
今回は私が実際に現場で評価しているハムストリング損傷疑いの評価手順についてご紹介させていただきます。
基本的にハムストリング損傷の重症度分類は理学所見ベースですとめちゃくちゃ困難です(特に除外に関して)
個人的にはほぼ理学所見が検出できない症例でもJISS分類Type ⅡBなどを経験し、頭を悩ませたこともあり、やはりハムストリングの確定診断には現状MRI撮影は欠かせないと思います。
ではなぜ詳細な評価が必要かというと、、その後のリハビリには大変有用な情報となる、と考えています(再発防止も含め)
今回は一般的なテスト以外にも私がどのような点を評価しているか、SOAPに沿って共有させていただきます。
SUBJECTIVES
受傷起点の聞き取り
まずはMOI(Mechanism of injury)を確認します、起点があればAcuteな起点がなければChronicな損傷があるという風に判断がシフトするかと思います。
ほとんどはAcuteがパターンが多いですが、Chronicでは血腫の増大によって症状が出てくるケースやそもそも神経因性のSpasmなどもあり、MOIの聞き取りは重要です。慢性であれば痛めていない可能性を探索する、という風になるのかなと思います(+腰部のけがの評価)
痛みのレベル、痛みの性質、疼痛範囲の聞き取り
次に疼痛範囲の聞き取りです、損傷範囲が大きい場合には疼痛が強くかつ明瞭、明確に筋実質に損傷がある場合にはより局在し(One finger)、Type2で損傷範囲が小さい場合などは疼痛範囲が不明瞭(このあたりという表現)なことが多いと感じます。この辺りがハムストリングの評価が難しい点だと思います。疼痛範囲が明瞭ではなく、疼痛レベルが低い場合でも重症度は高い場合があり、後の重大なミスに繋がることもあります。おそらく筋組織と腱組織の疼痛閾値の違いだとは思いますが、あくまで個人的な意見です。まとめると痛くない=軽いとうう評価は図式は成り立たないと考えます。
疼痛レベルについては治癒の指標の一つとなりますンボで必ず記録しておきましょう。
その他
その他、前述のしましたが腰部疾患との鑑別のため腰痛の既往は聞き取りを行い、その他の機能障害を拾う意味での既往歴の聞き取り、Lodingを判断するために怪我を負う前のトレーニングの状況について聞き取りを行っています、仮に受傷前のランニング量と強度が判明した場合それらを超えるようなランニングのプログレッションではリスクが増える、というヒントにもなるかと思います。
OBJECTIVES
次に客観的な評価です、まずは視診から。
視診
基本的には筋肉の陥凹を確認する作業になるかと思います。重症度が高ければ陥凹が明確なことはありです。血腫の有無も確認が必要ですが新鮮例ではほとんど確認できないです。ハムストリング損傷に関しての視診はあまり多くありません、その他は筋ボリュームを見たり、臀部や腰部の筋緊張を見ることもありますが、怪我の評価のためというよりか 機能障害を見るために実施しています。
触診
触診については主に二点、圧痛部位の範囲と位置です。範囲については圧痛がある部位をマーカーなどで描いておいたり、メジャーで長さを計測しています。また位置については坐骨結節からの距離を計測しています。範囲を残しておくと治癒過程が評価できるのでオススメです。
スペシャルテスト
SLR/ブラガード
ハムストリングの基本ですね、疼痛orタイトネスの発生する角度を記録しましょう。これらも治癒過程の評価となります。より詳細に評価したい場合はSLRの際に股関節を内旋or外旋にポジションさせると外側ハムor内側ハムの評価が可能です。
筋力検査
Inner range(深屈曲位付近)Mid range(中間位付)Outer range(伸展位付近)の3つのレンジについて評価します。これらを見ることでリハビリの際にどのレンジにWeekness がありより介入が必要か把握することができます。筋収縮に伴い、目視で外則or内側ハムの収縮感について評価を行い視覚的Feedbackのヒントとなるようにしておくと良いかと思います。
1leg hip lift とDrop and catch
CKCの筋力の評価として1 legのヒップリフトとヒップリフトからの弛緩→再度収縮(ブレーキ)のテストを実施しています。これらを実施することによりConレベルでの筋力発揮は可能か否かorEccレベルでの筋力発揮が可能か否か、が判断できるので運動強度の設定に役立ちます。
※ヒップリフトは検者(わたし)の肩に下腿を支持させ対側の骨盤を挙上、D&Cはヒップリフトのトップの一から一度弛緩し再度筋発揮し同じヒップリフトの位置でブレーキをかける
まとめ
さて、今回はリハビリのためのハムストリング損傷の評価について解説させていただきました、それぞれの指標を初期の段階で持っておくことにより、リハビリの過程がより詳細に追跡できるかつ、初期の強度設定ができる、と考えています(MRIの評価と合わせた上で)
皆さんの評価も共有いただけたら幸いです。