オンザピッチでの脳震盪の対応 Recognize&Remove

  • 2022年9月30日
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執筆者:陣内

この投稿では、オンザピッチ(コート上)での脳震盪の対応、について2022年9月現在の標準をもとに解説させていただきます。

※2022年10月には第6回の国際脳震盪学会が開催予定、新たなStatementが非常に楽しみですね。

Recognize&Remove

オンザピッチでの脳震盪対応の基本はRecognize(認知)してRemove(プレーから退ける)です。

R&Rの時点では脳震盪か否か、という点の判断は介在せず、脳震盪の疑いがあるか、といった点が重要になります。

故に、いかに脳震盪疑いの選手をいかに早く発見(認知)発見できるか、が我々メディカルスタッフに求められる課題となり、選手の行動をつぶさに観察する必要性が出てきます。

脳震盪の受傷起点とは?

2016年のPosition statementによると、脳震盪の受傷起点は

Sports related concussion (SRC)は頭部への直接の打撲や身体への衝撃が頭部へ伝わることによって生じる。

となっています、重要なポイントは必ずしも頭部への直接の打撲は必須の要件ではない、ということです。

11Symptoms

World rugbyでは、ゲーム中の脳震盪を的確に認知、除外するためのHIA(Head injury assessment)というシステムを導入しており、脳震盪認知の第一ステップとして、11の兆候(11Symptoms)が確認された場合、より詳細な評価に移行する、という流れになっています。

11の兆候は我々がピッチサイドから客観的に評価可能なものと、本人からのコメントなどが必要な主観的な評価に大別され、前者は選手へのアクセスなく判断が可能、後者の場合は対面での評価が必要になるもの、と整理できるかと思います。

客観的に認知可能な症状

  • 意識消失 Loss of consciousness

身体への衝撃ののち、受け身等を取らず、その後不動な状態。

Sports related concussion (SRC)は頭部への直接の打撲や身体への衝撃が頭部へ伝わることによって生じる。

受け身を取らない→全身が弛緩している=意識消失、という見方ですね。

  • 意識消失の疑い Suspected loss of consciousness

衝撃を受けた、もしくは転倒した等の際は脱力しており、受け身はとっていないものの、その後起き上がった、という状態。なので意識消失の疑い、という表現になっています。体感的にはまぁまぁ多い所見かなと感じます。

  • 運動失調(ふらつき)Balance disturbance

衝撃ののち、運動は継続するものの、ふらつきが観察される。体幹・下肢などの怪我と鑑別が難しいものになります。

  • 痙攣 Convulsion

文字通り、衝撃の後に身体が痙攣、この所見では当然頭部だけでなく、頚部の損傷も同時に疑わなければならないですね。

  • 不随意運動 Toic posturing

トニックポスチャーと呼ばれることが多いです、衝撃の後、身体の一部が不随意に動く、といった状況です。主に上肢が伸展方向に動くことが多く、初見でわかりやすい症状ですね。本来、痛み等があれば屈曲方向に動くハズですね。

  • ぼーっとしている Cleary dazed

これは、そのままですね!唯一割と抽象的な表現かと感じます。

主観的評価が必要な症状

  • 行動の変容 Definite behavioural changes

攻める方向を間違える、ポジションどりを間違える、など戦略的に正当な行動と合わないという場合が多いと思います。

  • 明らかな混乱 Definite confusion

見当識傷害と似ていますが、自分が何をしているかわからない、勝っているか負けているかわからない、等の状態ですね。

  • 見当識傷害 Player not orientated in time, place and person

いわいる、ここはどこ?いつ?といった症状です。混乱と似ていますが、、

自身がいる場所、時間がわからなくなる、といった症状です。

  • 眼症状(眼振・複視) Oculomotor signs

対面での評価が必須です、眼振は直接的な評価で、複視は検者の指などを観察させて評価します。仮に顔面外傷がある場合、同様に眼の障害は起きる可能性が高く、その際にはオンザピッチでの脳震盪の除外は非常に難しい判断になります。

  • その他の脳震盪の症状があるOn field identification of signs of concussion

頭痛を訴えたり、めまいを訴えたり、という状況ですね。ここはいろいろなパターンが想定されます。脳震盪の症状一覧をしっかりと確認する必要があります。

まとめ

脳震盪疑いを早期認知するためには、脳震盪によって起こる行動を認識し、R&Rの判断はどの根拠によるものなのか、を判定できるようになる能力が必要になってきます、なんとなく脳震盪〜?というよりも、○○の症状があるため、と判断できた方が意思決定の質として、良いですね!日々、訓練が必要ですね!