執筆者:陣内
本投稿の内容は先日ついに公開された題6回脳震盪国際会議の合同声明の要約、主な変更点についてです。
なかなか熟読の機会がない方へ、とりあえず大まかな内容が掴める事と思います。詳細はぜひ原著を参照いただくことを推奨いたします。またStatementの構成上、前回までの内容を掴んでおくと良いかと思います。
原著のリンクはこちら↓
6th statement https://bjsm.bmj.com/content/57/11/695
目次
INTRODUCTION
本文中の序盤には主に以下のような内容が記載されており、特に赤字の点は非常に重要かと個人的にも感じます。
- 第6回会議は、2022年10月27日から30日の間で開催
- 会議の成果に影響を与えた10個のシステマテックレビューと併せて読む必要がある
- ステイトメントとは別に、CRT6,SCAT6,Child SCAT6,SCOAT6,Child SCOAT6が改定された
- コンセンサスのプロセスにはアスリート、パラアスリートの視点も盛り込まれた
- SRCの長期的な影響と、競技者の引退について、が新たな要素として追加されている
- ステートメントの目的は、現時点での科学と専門家らによるエビデンスと実践的な推奨事項を提供するものであり、実際の臨床には随時アップデートが必要である、よって、規範的なガイドラインとして使用する事を目的としておらず、法的な医療基準として意図されたものではない
Key Point 要点


本文中に要点、という形でまとめられています。最低限ここだけでもおさえておくと今回の趣旨は掴めるかなと感じました。
以上が導入になり、中盤以降の構成は11Rについてそれぞれ詳細の情報が述べられています。

定義 Recognize
- Sport related concussion(以降SRC)は、スポーツ活動中に、頭部、頚部、身体へ直接の外力が加わり、脳へ衝撃がつたわることで引き起こされる外傷性脳損傷である
- 神経伝達物質と代謝のカスケードを引き起こし、軸索損傷、血流の変化、炎症などが脳へ影響を与えている可能性がある
- 症状はすぐに発現するか、数分から数時間で起こり、一般的には数日で解決するが、長引く可能性もありz
- 標準的な画像所見は異常が見られない
- スポーツに関連する脳震盪は意識消失を伴うことも伴わないこともあるさまざまな臨床症状や兆候をもたらす
- 上記の定義は特定の診断基準を提供していない
- American congress of rehabilitation medicineより軽度外傷性脳損傷の診断基準が公開されている
- CISGとACRMの一致はなく運用基準の統一が必要
予防 Reduce
- 小児及び思春期のアイスホッケーではマウスガードの使用を支持する
- ボディチェックを禁止する方針は、全ての子どもたち、そして青少年アイスホッケーのほとんどのレベルで支持される
- アメリカンフットボールにおける、コンタクト練習を制限する戦略はあらゆるレベルの関連施策に反映させるべきである
- ラグビーの研究に基づき、NMTウォームアップが推奨されているが、他の集団での適用についてはより多くの研究が必要である
- 脳震盪の再発率を下げるために、最適な脳震盪管理が推奨される
認知 Remove
- 脳震盪の発見はSRCを管理する上で第一のステップであり、脳震盪の疑いがある場合には、更なる悪化を避けるためフィールドから退場させるべきである
- プレーヤーのからの症状の訴えや、外部から観察に基づいて行われる
- 観察可能な兆候は、意識消失、痙攣、強直、運動失調、バランス不良、錯乱、行動の変化、行動の変化、記憶喪失などがある
- 以上の兆候を示す選手は経験のある医療従事者から評価を受け、脳震盪と関係ない(筋骨格系の怪我)と判断されない限りその日の練習や試合に戻ってはならない
- Maddocksの質問は、脳震盪の明確な兆候が見られない12歳以上の選手にとって有用かつ簡潔なスクリーニングの一部となる ここはどこ?今は前半、後半?対戦相手は?
- SCAT5では受傷後72時間以降で臨床的有用性が下がることが指摘
- 5ワードテストはシーリング効果が明らかであり、10単語リスト含むより難易度の高いテストの使用が推奨されている
- ワードリストの3 形式は難易度に差があり、同等ではないことが示唆された
- 症状スケールを除きこれらのツールは7日を超えてのRTS意思決定のプロセスに適していない可能性がある
以下SCAT6,SCOAT6についての要点



Rest/Rehabilitation
- 入手可能なエビデンスによると、脳震盪に関連した症状が完全に消失するまで厳密な安静を推奨することはSRC後に有益ではない
- 脳震盪後24-48時間は相対的安静が推奨され、症状が悪化しない程度の身体運動に戻す
- 受傷後48時間内はPC/スマートフォンの使用は減らした方が良いとされるが、以降は効果がない可能性がある
- 運動負荷試験を実施できる医療従事者はSRC後2-10日以内に、症状の憎悪がないHR閾値内において、有酸素運動を安全に処方することができる、脳震盪症状の憎悪がある場合には運動は中止*プロトコルは別途確認
- SRC後2-10以内の症状閾値下の有酸素運動はPCSの発症を減少させるのに有効
- 専門家への紹介を行い、持続する症状に対し、標準的な治療を検討するべき
- 持続する症状とは、頚原性の症状、偏頭痛、睡眠障害、頭痛、認知・心理的障害、前庭兆候、眼球運動の兆候が含まれる
- 持続する症状(4W以上)は既往症、脳震盪関連、またはその両方の可能性がある
- 症状が持続している患者を特徴づけるために理想的には他職種による多様な評価を行う
- めまい、頚部痛、頭痛が10日以上続く場合はCervicovestibular programを推奨する
- めまい、平衡感覚に問題のある患者はCervicovestibular、前庭リハビリテーションのいずれかが有効である
- 小児や青年で4週以上に渡り症状が持続する場合には積極的なリハビリテーションと共同ケアが有効である
- リハビリテーションの組み合わせ、リハビリテーション開始の最適なタイミング、修飾因子などの効果についてはまだ十分に確立されておらず、更なる評価が必要である
RTL/RTS
- SRC後の学習や就学への復帰は学生にとって重要な検討課題である、全年齢のアスリートの大多数が(93%)が追加の学業支援なく完全なRTLを果たしているが、回復を遅らせる可能性をもつアスリート(症状が重い、学習障害がある)はより困難になる可能性
- RTLとRTSは並行して行うことができるが、学生アスリートは制限のないRTSの前に完全にRTLを完了する必要がある
- SRC後に絶対的な安静を取ることは避けるべきである
- 小児、青年、成人において、SRC後RTSまでの平均期間は19.8日(95%CI 18.8-20.7)であった
- 受傷後2-4週で症状が持続、悪化、または漸進的に回復が見られない場合、多様な評価とリハビリテーションを行う
以下、RTSのプロトコル

上記の憎悪の基準、ステップごとの悪化の際のアクションの違いについては注意が必要ですね!
まとめ
現場に関わるものとしては、SCAT6/SCOAT6の取り扱いの違い、RTSプロトコルの改変に対応が必要かなと感じています。それ以外の個人的に目新しい点はないものの、内容も広くまとめられており、やはり必読かなと感じました。